不労所得が生活費を上回った段階で、若くして仕事を辞めることを、
「Financial Independence, Retire Early」と言い、
略してFIREと呼ばれています。
FIREに必要な資産については、年間生活費の25倍が通説になっています。
実際に金額を試算してみると、一瞬で心が折れてしまいますが、
その金額は、投資期間を考慮していない場合の金額です。
上手く資産を運用することができれば、必要な資金は減らせるので、
その点、詳しく見ていきたいと思います。
「FIRE」自体について、もう少し詳しく知りたい場合は、
以下の記事が参考になります。
年間生活費の25倍が必要な理由
年間生活費の25倍の資産をもとにリタイアする話は、
株式や債券に投資することが前提となっています。
株式投資の種類には、ざっくりと「値上がり益を狙う投資」と
継続収入である「配当金を狙う投資」がありますが、
いずれも25倍が基準と考えて問題ないです。
値上がり益を狙う投資
「値上がり益を狙う投資」については、「4%ルール」という法則があり、
これは、退職プランと経済理論の研究結果が基になっています。
この研究では、リタイア後に投資先から一定額を引き落として生活した時、
資産がどのように推移するのかをシミュレーションしました。
その結果、95%の確率で、30年間資産が底をつかなかったのが、
リタイア時の資産の4%を引き落とし続けた集団でした。
なお、底をつかなかった95%の人については、
そのほとんどの人が、リタイア時の資産より増える結果となったようです。
「4%ルール」については、以下の外部記事が参考になります。
配当金を狙う投資
「配当金を狙う投資」については、投資先を選択することで、
利回りをある程度コントロールできます。
ただし、高利回りを求めすぎると、損をする可能性も高まるので、
投資額に対する利回りは、「4%」程が無難な利回りと考えられます。
これら「4%」という目安が存在するため、必要資産が25倍と言われます。
資産 × 0.04 (4%) = 受け取り金額 (生活費)
つまり、
資産 = 受け取り金額 (生活費) × 25
「年間生活費の25倍」の落とし穴
これまで説明した前提を基に、必要な資産を算出してみます。
年間「300万円」と生活費を仮定すると、必要金額は「7500万円」です。
値上がり益を狙う投資
「値上がり益を狙う投資」であれば、特に落とし穴はありません。
シンプルに、資産「7500万円」を目指しましょう。
過去と同様に、長期目線で株価が上昇する前提であれば、
投資期間が長いほど有利であり、その分、投資額も少なく済みます。
配当金を狙う投資
「配当金を狙う投資」であれば、落とし穴が存在します。
それは、長い投資期間を経て「増配」や「減配」が発生することです。
常に、利回り4%の資産を購入し、配当金に変動がない場合は、
試算通り「7500万円」の投資額が必要になります。
( 目標到達期間中も配当金を得られるので、投資額には配当金も充てられます。 )
他方、増配があれば、必要な投資額は「7500万円」より少なくなり、
減配があれば、必要な投資額は「7500万円」より多くなります。
配当戦略における「増配」の考えかた
「値上がり益を狙う投資」においては、資産「7500万円」だけが目標ですが、
「配当金を狙う投資」においては、配当金「300万円」だけが目標になる違いを、
よく理解する必要があります。
「値上がり益を狙う投資」はシンプルでした。
株価が上がれば、資産価値が上がり、それで「7500万円」を目指します。
一方、「配当金を狙う投資」においては、配当金額に着目しなければなりません。
配当金が倍になれば、資産価値も倍になったと考えるべきです。
購入時、100万円で配当金4万円 ( 利回り4% ) の株が、
配当金8万円 ( 簿価利回り8% ) にまで成長すれば、
残る必要金額は、7500万円の内、7300万円になります。
このように、配当戦略においては、増配する銘柄を選び抜くことで、
「年間生活費の25倍」の資金の満額は、必要でなくなります。
まとめ
FIREに必要な資産については、年間生活費の25倍が通説ですが、
これは、投資期間を考慮していない場合の金額です。
「値上がり益を狙う投資」と「配当金を狙う投資」、
いずれの投資スタイルであっても、適切に運用すれば、
投資期間中に価値が成長し、その分、早く目標に到達します。
「配当金を狙う投資」の評価ポイントについてはクセがありますが、
今回の話で、理解が深まれば幸いです。
最後までありがとうございました!
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