「目標配当金額÷想定利回り」の計算で、必要な金額を試算したことはないでしょうか?
よく紹介されるこの計算は、簡単に必要金額が算出できる一方で、意味を正しく理解しないと、過剰な金額が算出される落とし穴があります。
必要な金額を試算して諦めるのは、非常にもったいないです。
今回の記事では、「目標配当金額÷想定利回り」の意味を抑えつつ、追加で考慮すべき重要な要素を解説します。算出された金額を見て挫折しそうな人に、諦める前に、是非読んでもらいたい内容です。
ちなみに、私が配当金100万円に到達した際のトータル入金額は「約1525万円」でした。これは、一般的に言われる「2500万円以上」よりはるかに低い金額です。
何故このようなことになるのか、本記事で理解いただけると思います。
以降の文章は、目標配当金を100万円と設定して記載しますが、120万円(月10万円)、240万円(月20万円)…などでも同じことが言えます。
よく紹介される計算の意味
早速、「目標配当金額÷想定利回り」で算出される金額の意味ですが、これは、「今、高配当株に一括で投資をして、目標の年間配当金にするために必要な金額」です。
この計算が役に立つのは、退職金や相続、宝くじなどで大金を得た時や、高配当株以外の資産(オルカンなど)を持っており、その資産を高配当株に置き換えるような時です。
こちらの状況において計算を行った場合は、結果の解釈に間違いはないので、前のページに戻っていただいても大丈夫です。
逆に、これから高配当株を長期的に積み上げていくような状況であれば、役に立ちづらい計算結果とも言えます。この場合の意味は、「配当金が100万円に到達する頃に、なっているであろう資産額」ととらえることは出来そうです。
長期的な積み上げをする時に、必要な金額を求める意図でこの計算を行った場合は、過剰な金額が算出されます。投資を諦める前に、是非、以降の章も読んでいただければと思います。
考慮すべき重要な要素
この章では、これから高配当株を積み上げていく場合に考慮すべき、重要な要素について説明します。
いずれも、時間経過とともに、雪だるま式(複利的)に効いてくる要素です。
各要素、業績不振によりマイナスの影響を受けることもありますが、長期的には成長するという前提の下で投資をするため、プラスの影響を受けるものとして計算する方が、自然だと考えます。
増配
増配は、「増加額」ではなく「増加率」で評価されます。例えば、100円→101円の増配と、10円→11円の増配とでは、後者の方が10倍優れた増配です。
このことは、企業や投資家などの市場参加者の共通認識ですので、現在の配当金に見合った増配がなされます。そのため、投資期間中の配当金は、雪だるま式に増加していくものとみなせます。
また、配当金自体が増えると、目標配当金額までに必要な金額が大きく減ります。
例えば、増配により年間配当が5万円増えた場合、125万円の追加投資が不要になったことになります。(利回り4%を仮定)
長期投資において、この影響は無視できません。
利益確定売り+再投資
株の一時的な人気化や、企業価値が高まることによって、株価が上昇します。
この株価上昇に増配が追い付かない場合は、その株を(一部)売却して、別の高配当銘柄に再投資する状況が起こり得ます。
これにより、売却した利益分が必要資金を圧縮します。
【元本100万円が、200万円の資産に変化する例】
利回り4%に100万円投資(配当4万円)
→株価上昇と増配で利回り2.5%に200万円に変化(配当5万円)
→利益確定後に利回り4%に200万円を再投資(配当8万円)
売却せずに永久ホールドを提案する人もいますが、入金力が優れていないと配当金が伸ばせません。並みの会社員が配当金100万円を目指すとなると、売却と再投資を検討する時が来ると思います。
配当金受領+再投資
高配当株投資をしていると、当然ながら、配当金を受け取れます。この配当金を再投資することで、雪だるま式に配当金が増えていきます。
他の2つの要素と異なり、比較的確度の高いプラス要素で、市場が好調でなくてもプラスの影響があります。配当金を伸ばす力は大きくありませんが、特に市場が好調でない時は、再投資を検討してみてはいかがでしょうか。
毎年、配当金が増えた方が、継続するモチベーションも高まると思います。
配当金100万円にはいくら必要?
ここでは、配当金100万円に必要な金額を試算します。計算には、複利計算ツール(毎月積立)と以下の仮定を用いました。
【仮定】
複利効果:5%(増配:2%、再投資:3%)
配当利回り:4%
説明した3要素を個別に計算すると、かなり難易度の高い計算になるため、ここでは、年間5%の複利効果として計算します。(増配:2%、再投資:3%)
各要素を全て考慮したリターンは、いわゆる「トータルリターン」とほぼ同じ定義です。日本株のトータルリターンは、5%前後とされることが多いので、仮定に大きなズレはありません。
なお、計算は未来予想であり、実際の投資結果を保証するようなものではありません。
計算結果
年間投資額(毎月)/ 達成年数/ 総投資額
・25万円(約2.1万/月)/ 36年/ 900万円
・50万円(約4.2万/月)/ 26年/ 1,300万円
・75万円(約6.3万/月)/ 20年/ 1,500万円
・100万円(約8.3万/月)/ 17年/ 1,700万円
・125万円(約10.4万/月)/ 14年/ 1,750万円
年間投資額、配当金100万円の達成年数、総投資額の計算結果を記載しました。
複利効果により、運用期間が長ければ、必要な元本は少なくなります。逆に、運用期間が短ければ、必要な元本も多くなります。
そして、「目標配当金額÷想定利回り」の計算で算出される金額は、達成年数を0年とする場合の金額です。冒頭でも述べたように、多くの人にとっては、過剰な金額です。
ツールの使い方
①「目標配当金額÷想定利回り」を電卓で計算します。
(目標配当金額100万円、想定利回り4%なら2500万円です。)
②毎月の積立額(万円)を任意で設定します。
③年利(%)は5%が無難です。
④期間(年)を動かし、将来価値が①で計算した金額を超える期間を探します。
⑤投資元本に必要な元本が出力されています。

画像の設定の場合、毎月10万円投資することで、15年後に配当金100万円に到達する計算になります。また、その際の総投資額は、1800万円です。
実際にいくら必要だったか
実際に、私が配当金100万円に到達した時の総入金額は「約1525万円」で、達成年数は「約5年」でした。
毎月積立ではなく、資産の大半を高配当株に捧げているため、運に強く左右されます。その中で、コロナショック時に株を買えたこと、東証改革により増配を多くとれたこと、株価急騰時にうまく利確出来たことなどが影響して、5年という驚異のスピードで達成しました。
この話を聞いて、「私には無理だ…」と感じたなら、それは誤解です。
銘柄選択を間違わず、時間さえかければ、豪運でなくても到達できます。5年での到達は無理でも、長期目線で、配当金を増やし続けることが大切です。
おわりに
「質問:2500万円の資産を作るのに必要な現金は?」「回答:2500万円です」という意味のない回答が、「目標配当金額÷想定利回り」の計算で、必要な金額を求めることに似ています。
資産や配当金は、時間経過と共に増える性質があるため、時間を無視した計算だと、役に立たないことが多いです。
また、複利の効果は絶大です。そのため、短期的に配当金100万円を達成するのが難しくても、時間をかければ難しい目標ではないと考えています。
「目標配当金額÷想定利回り」の計算結果を見て、諦める必要はありません。自分に合った時間軸で、達成を目指しましょう。



